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「笑っている父親」を増やしたい


【NPO法人 ファザーリング・ジャパン 代表理事 安藤哲也氏】

創業年月 2007年4月 事業内容 セミナー事業、検定試験事業ほか
創業資金 1,000万円(うち公庫借入700万円) 理事・社員 19人
URL http://fathering.jp/

事業概要

「父親だって、仕事も育児も両立させたい」 NPO法人ファザーリング・ジャパンは、「Fathering=父親であることを楽しもう」を合言葉に父親の子育てを支援する活動を行っています。一般的には父親の自己実現の場は仕事しかないと考えられています。しかし、当NPOは、子育てに参加する楽しさを父親に実感してもらい、仕事中心の生き方から仕事と育児を両立させる生き方への転換を提案しています。また、父親が育児へ積極的に参加できるような職場を築くべく、企業へ意識改革を呼びかけています。 現在の事業活動の柱は大きく二つあります、一つは、絵本の読み聞かせを行うセミナーや父親支援に関する講演会の開催です。自治体や企業、労働組合、学校のPTA、保育園などから依頼を受け、年間120回ほど開催しています。 もう一つは、「子育てパパ力(ぢから)検定」という検定試験の運営です。これは、育児に関するさまざまな問題に解答することで、パパとしてのレベルを測定するというもので、1,000人を超える方々が受験しています。

創業の経緯

私が父親になったのは、1997年のことです。妻も仕事を持っていたため、保育園へお迎えに行ったり、寝る前には絵本を読んであげたりするなど、主体的に育児に関わったことで、子育ての楽しさを知りました。しかし、男性を中心とする日本社会は仕事一辺倒。遅くまで残業している人のほうが偉いとか、上司より先には帰りづらいといった風潮があり、せっかく子どもが生まれても、ほとんどの父親は長時間労働で子育ての楽しさを味わう暇がありません。私も不夜城と揶揄される六本木ヒルズにある会社に勤めていましたが、効率よく仕事をこなすことで定時退社を実践し、子育てを満喫していましたので、「日本の父親はもったいないことをしているな」と感じていました。 2003年から、気の合うパパ仲間とボランティアで園児や小学生に対する絵本の読み聞かせを始めました。読み聞かせるのは、「ウンチの話」など子どもが大喜びしそうな本です。狙いどおりほとんどの子どもが大笑いしてくれました。しかし、回数を重ねていくうちに、笑わない子どもが目にとまるようになり、よくよく観察してみると、その子どもたちの両親も笑っていないことに気づきました。「親が笑わないから子どもも笑わない。子どもの笑顔を取り戻すには、親の笑顔を取り戻す必要がある。そのためには、親の働き方や価値観を変えなくてはならない」と強く感じたのです。 日本には母親を支援する活動は山ほどありますが、父親支援は皆無でした。そこで私は、父親の支援ができないものかと考えました。いろいろ情報を収集しているうちに、カナダに父親の育児を支援する団体があることを知りました。そして、その団体の代表者に会って意見交換をしたときに、「父親の育児支援は先進国の潮流であり、ぜひやるべきだ」と激励を受け、創業を決意したのです。 カナダの父親支援団体の活動を参考にしながら、事業内容を日本流にカスタマイズし、事業計画書を作成しました。そして、友人や知人、ボランティア仲間の中から共感してもらえそうな人を回り、事業提携や出資、理事就任、サポーターなどの形での支援を要請しました。

融資申し込みの経緯

創業後間もない時期から、「子育てパパ力検定」の構想をもっていました。男性はこういった検定が好きだし、話題性がありマスコミに取り上げられやすく、絶大なPR効果が期待できると考えました。したがって、この検定をファザーリング・ジャパンのコンセプトを一気に伝える起爆剤にしようと計算しました。 しかしその時、ネックになったのは資金です。検定試験を運営するには、会場の確保、印刷物の作成、運営スタッフの確保などにコストを要します。見積もったところ1,000万円かかることが判明し、早速、金融機関へ融資の相談に行ったのです。ところが、どこも「活動実績が乏しい」「先例がない事業で先行きに不安が大きい」などと全く相手にしてくれませんでした。 困り果てていた時、財務面を担当している理事に、「最後に国民生活金融公庫(現:日本政策金融公庫 国民生活事業)に行ってみましょうか」と言われて、公庫へ行くことにしたのです。

融資をめぐるエピソード

融資を申し込む際は、活動内容をアピールするために、事業計画書に加えて創業時に当NPOが掲載された新聞記事も提出しました。そして、担当者との面談で、「創業間もない状況でありながらすでに20回ほどのセミナーを手がけていること」「セミナー等の依頼は増えており、事業の拡大が見込めること」などを説明しました。今までにない革新的な事業のため、正直理解してもらえるか不安でしたが、私の熱意が伝わったのか、担当者の方は共感してくださり、申し込みどおりに融資を実行してもらいました。 融資金を活用し、前述の「子育てパパ力検定」を実施しました。思っていたとおり同検定は各方面から大きな注目を集め、150を超えるメディアに取り上げられました。 助成金などに頼らない事業型のNPOは、経営面において主体性を維持することができる反面、資金調達面では非常に苦労しているところが多く、中には資金不足によって事業化が叶わなかったNPOも少なくありません。当NPOも、公庫から資金調達ができていなければ、同様の道をたどっていたかもしれません。周囲から「公庫は最後の砦」だと聞いていましたが、民間金融機関がまともに相手もしてくれないときに、親身に対応してもらったのは、本当にありがたかったです。

ビジネスの現状と展望

2年目の2009年度には黒字化し、順調に進展しています。好評を博している「子育てパパ力検定」は現在、ウェブ上でサービスを提供しているほか、ハングル語バージョンを作成し、韓国にも展開していく予定です。2009年秋には、新事業として、日本初の「父親学校」をスタートさせます。これは、独身者やプレパパ(これからパパになろうとする男性)を対象に、ワーク・ライフバランスやパートナーシップのあり方といった知識面から、料理や読み聞かせ、救命救急など実践面までの8つのプログラムを提供するというものです。まずは東京で開催しますが、いずれ各自治体とタイアップして広げていければと思っています。

これから創業を目指す人へのメッセージ

今、「社会起業家」がブームのようで、社会起業家になろうと最初からNPOありきという人をよく見かけます。しかし、社会起業家とはなろうとしてなるものではなく、社会問題に向き合い改善しようという意識を持って活動した結果、そうなるのだと思います。私もよく社会起業家と呼ばれますが、自分にはそういった感覚はありません。あくまでも、自分が自分らしく楽しんでやれる事業を選んだだけのことです。 もっとも、事業を楽しむといっても、本気であることを示さなければ人も資金も集まりません。自分らしく仕事ができるフィールドで、地に足をつけ、一歩一歩確実に進んでいくことで、道は開けると思います。

日本政策金融公庫 国民生活事業 担当者への質問

 融資を決めたポイントは何ですか?

今までにない分野での創業だったこともあり、先行きが見えにくい部分はありましたが、すでにセミナーや講演活動をされており、確実に需要があることがわかりました。
また、数多くのメディアに取り上げられていることなどから、社会の注目度も高く、今後更に飛躍できる事業だと判断しました。

 日本政策金融公庫 国民生活事業 を活用する方法を具体的に教えてください。

日本政策金融公庫 国民生活事業は、NPO法人ファザーリング・ジャパン様のような社会貢献度の高い事業を創業する方もご支援しています。ご融資の申し込みやご相談は、全国152店舗の支店窓口で承っています。
また、全国15ヵ所にある「創業支援センター」では、創業を検討されている方や準備中の方を対象に、経営に関するセミナーを開催しています。東京、名古屋、大阪にある「ビジネスサポートプラザ」では、予約制の夜間、土曜・日曜相談を実施しています。ぜひご活用ください。