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“草分け”として情報セキュリティを確かなものに


【JNS株式会社 代表取締役 白井 力氏】

創業年月/資本金 2002年9月/1,700万円 事業内容 情報セキュリティ関連システムの開発およびコンサルティング業務
利用した 融資制度 挑戦支援融資制度1,200万円 (2009年4月) 売上高 3,700万円(2009年3月期)
従業者数 4人 URL http://www.jnsjp.com/

事業概要

当社は、情報セキュリティ関連システムの開発やそのコンサルティング事業を行っています。現在メインとなっているのが、Webサイトの改ざんを検知し自動的に復旧させるアプリケーション『isAdmin』の開発・販売です。近年、官庁や企業のホームページが不正アクセスされ、記載されている情報やプログラムが改ざんされるという被害が多発しています。こうした被害に対応するシステムは従来から存在しましたが、Webサーバ自体に搭載するため、Webサーバが乗っ取られると無効化されるという欠点がありました。しかし、『isAdmin』は、Webサーバではなく、管理マシンに搭載するため、システムに直接攻撃を受けることがなく高い安全性を実現しています。さらに設定や操作などが比較的容易であることや、コストパフォーマンスに優れていることなども評価され、中央省庁をはじめ地方公共団体等100ヵ所以上に導入されています。

創業の経緯

創業する前は、知人と設立した会社の役員を務め、現在と同じセキュリティ対策システムの開発を手がけていました。しかし、経営方針をめぐる意見の対立などを繰り返すうちに「自分の思ったとおりのシステム開発をしたい。そのためには、例え小さくても自分の会社を興す必要がある。」という思いが次第に強くなり、創業に至ったのです。 創業と同時に着手したのが、現在当社の主力製品となっている『isAdmin』の開発です。『isAdmin』のアイデアは創業以前からあたためていました。とはいえ、製品化への道のりは険しく、無事に開発が成功しても、市場に定着し、売上となって成果が表れるまでには、相当の時間を要します。自己資金はある程度準備していましたが、開発資金のほかに、事務所の家賃や従業員への給与なども支出しなければなりません。知人から紹介されたセキュリティ分野以外のシステムの仕事などをこなし、資金を捻出しながら、『isAdmin』の開発に没頭する日々を過ごしました。 努力の甲斐もあって、開発に着手して10カ月後には『isAdmin』の第1弾をリリースできました。製品のバージョンアップやラインナップの拡充を重ね、今日では9種類をそろえるに至っています。業績も概ね創業時に立てた計画どおりに推移し、歩みはゆっくりですが成長を続けています。

新規事業への挑戦

当社が身を置く情報システム業界は、技術の進歩が著しく、競合も激しい世界です。『isAdmin』が徐々に軌道に乗り始めたとはいえ、1つの製品だけに頼っていては安定した経営は期待できません。事業基盤を確固たるものとし、さらに持続的な成長を目指すためには、『isAdmin』と並ぶもう一つの事業の柱を確保する必要性を感じていました。 そこで、着目したのが「プライバシーマーク認定制度」です。「プライバシーマーク認定制度」とは事業者が個人情報の取扱いを適切に行う体制等を整備していることを認定し、その証としてマークの使用を認める制度です。個人情報保護に対する社会の意識の高まりを背景に、中小企業でも取得の必要性を認識しているところは多いのですが、費用面や手続きの煩雑さから十分に対応できていないのが現状です。私は『isAdmin』開発の傍ら、プライバシーマークの取得や運用に関するコンサルティングを手がけていましたので、そうした中小企業をたくさん見てきました。そして、「大きな手間隙をかけずに、安価にプライバシーマークを取得・運用できるシステムを提供できれば、多くの中小企業に喜んでもらえるし、当社にとっても『isAdmin』と並ぶ事業の柱となる」と考え、システムの開発に取り組むことを決意しました。 プライバシーマーク取得・運用支援ツール『PIAS』の開発事業計画を策定し、東京都中小企業振興公社の事業可能性評価を申し込みました。事業計画の中では、現状の個人情報保護に関する問題点を提起し、プライバシーマークの取得・維持のシステムを構築することで多くの企業が個人情報保護の体制を確立し、運用することができると力説しました。努力の結果、2008年9月に「事業の可能性あり」との評価を得ました。

新製品開発資金の融資の申し込み

2009年3月に『PIAS』の開発資金の融資を受けようと日本政策金融公庫 国民生活事業を訪れました。すると担当者から、同年2月に創設されたばかりの「挑戦支援融資制度」を案内してもらえたのです。この制度は、新規性のある技術やノウハウを活用し新規事業の立ち上げを図る事業者が対象となる融資制度で、返済開始から10年間は毎月の利息のみの返済で、元金は10年後に一括返済するという画期的なもの。保証人や担保も不要です。当社は、前述の事業可能性評価で事業の可能性が高いと判断され、振興公社から公庫へ融資申し込みの紹介をしてもらい、この制度を利用することができました。 1,200万円を申し込み、審査の結果、満額を融資してもらえました。事業計画に自信はありましたが、金額が大きいうえ、長期の開発資金です。正直全額を融資してもらえるだろうかと不安でしたが、満額の回答だったのです。公庫の担当者からは、「中途半端な金額を融資されても仕方ないでしょう。これは”投資”されたものと思って開発にまい進し、10年後に配当として返してください」と言ってもらえました。うれしかったですね。 『PIAS』は、2009年10月に第1弾を発表し、その後段階的にバージョンアップを重ねリリースしていく予定です。ですから、資金の回収も段階的とならざるを得ません。けれども、10年も経てば市場に定着し軌道に乗っていると見込んでいます。元金の一括返済もきっとできるでしょう。我々のような開発型の企業にとって、「挑戦支援融資制度」は本当にありがたい制度だと思っています。まさに「政策」として日本の産業を育成する主旨の同制度を利用させてもらったからには、『PIAS』と『isAdmin』で日本の情報セキュリティをより確かなものにしていきたいと考えています。情報セキュリティ分野には”草分け”としてかかわってきた自負がありますから。

これから創業を目指す人へのメッセージ

企業を取り巻く環境は著しいスピードで変化しています。こうしたなかで企業を維持・成長させていくためには、常に新しいことにチャレンジしていく必要があると思います。もっとも、やみくもに新しいことに取り組んでも、うまくいくとは限りません。そこで私は、創業も含め、新たなことにチャレンジする際、三つのことを意識して行っています。 一つ目は、できる限り経費を抑えることです。 開発型の企業は、事業の立ち上げから開発、製品化、販売までの過程が非常に長期にわたります。その途中で資金が不足し、計画が進められなければ、企業の存続は困難となります。そんな状況を避けるために、事務所は安い物件で我慢し、人件費や交際費を最小限に抑え、固定費を削減するよう努めました。この意識は、創業時から7年経った今も変わっていません。 二つ目は、公的な認定制度を利用することです。 当社は、事業可能性評価に応募し「事業の可能性あり」の評価を受けました。そのおかげで、融資・助成金の紹介や推薦、商社・メーカーのOBの方々による販路開拓支援など、事業化に必要なさまざまな支援を受けることができたのです。 三つ目は、事業計画を第三者にチェックしてもらうことです。 私の場合は、前述の事業可能性評価への応募がそれに当たります。事業可能性評価の審査では、技術や事業計画の中味を厳しくチェックされます。そうしたチェックを受けることで、自社について客観視でき、マイナス点の是正やよりよい方策へのアプローチが可能となったのです。そして、金融機関やパートナー、従業員により整理されたビジョンを提示することができる。このことの意義は非常に大きいと思っています。 創業でも新規事業の立ち上げでも、成功のためには、綿密な事業計画と地道な努力の積み重ねが不可欠です。 そのうえで、外部資源を活用し、良いものを積極的に取り入れることで、より効率よく事業を成長させていくことができると思います。

日本政策金融公庫 国民生活事業 担当者への質問

 融資を決めたポイントは何ですか?

創業時からの事業である『isAdmin』は開発が一段落し、一定の売上実績を上げていました。また安定したコンサルティング収入もあり、資金・開発の両面で新規事業である『PIAS』に取組む体制が整っていました。新規事業に関しては、東京都中小企業振興公社が実施する事業可能性評価事業の「事業の可能性あり」の認定を受けており、その評価内容からも今後需要が見込まれる製品だと判断しました。開発に時間を要するものの、技術力を有した企業であり、挑戦支援融資制度にピッタリの企業でした。

「挑戦支援融資制度」について教えてください。

JNS株式会社様が利用された「挑戦支援融資制度」は、地域経済を活性化させる事業に取組む中小企業への支援を一層強化するため、平成21年2月に取扱いを始めた新しい融資制度です。技術・ノウハウ等に新規性がみられる事業を立ち上げたものの、事業が軌道に乗るまで、ある程度の期間が必要な方などにご利用いただきやすくなっています。同制度は、返済期間が10年(税務申告を2期終えていない方は7年)で期限一括返済の返済方法であることや劣後特約を締結することから、出資に近い融資制度であることが特徴です。

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