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「雇用を守る」企業の使命を貫く


株式会社エヌ・ツー・エンジニアリング 代表取締役 並木暘子氏

創業年月 2010年5月 事業内容 電気機器などの組立・製造、物流業務の受託
資本金 300万円 従業者数 12人
TEL 0297-36-1095

事業概要

 半導体製造装置(ステッパー)のレチクルチェンジャー(フォトマスク(半導体を製造するときに使用される回路のパターンの原板)を交換する装置)や主にATM、パチンコ台等に使用するソレノイド(電磁力を利用して、電気エネルギーを機械的運動に変換する機能部品)の部品製作受託のほか、物流倉庫内のフォークリフト作業などを受託しています。
 メインとなる業務は、商社を通しての半導体製造装置の組み立てで、全体が組み上がると大変高額な大型のものとなるそうです。その重要なユニットの組み立ては、当社が自信を持って担当させていただいております。
 それぞれ担当スタッフが専門的技術を持っており、私は”神の手”(笑)と呼んでおります。
 メーカーさんから部品を預かって、当社のクリーンルームで組み立てており、組み立て工賃を頂くというシステムです。仕入れがないということでは、在庫リスクがない事業形態といえます。

創業の経緯

 以前私が総務部長として勤務していた派遣会社で、現在当社が手掛けている半導体製造装置の組み立て作業を請負っていましたが、リーマンショック後、大幅な人員削減がありました。私も、請負スタッフに、契約を終了する旨のお話をせざるを得ない場面がありました。不況の影響は、私共の子ども達世代に重くのしかかり、住宅ローンがある子供の教育費がかかる人達のこれからを思うと、忸怩たる思いがしました。
 その後、一般的には定年退職の年齢である私達も引退いたしました。趣味のハワイアンなど、楽しみながらのんびりする予定でした。そんな2009年に、以前ステッパーの組み立て作業の注文を受けていた会社から「半導体の組み立て作業の会社を作ってみないか」というお誘いを受け、復活した生産ニーズに対応できるなら、と考えました。
 しかし、会社経営となると並大抵ではありません。気力、体力、知力に不安がありましたが、図らずも退職していった仲間の顔が浮かんだのです。「仕事が見つからない」という人もいました。ならば、もう一度仲間を集めて仕事をしよう、やらずの後悔よりやって後悔する方がましと思い、当社を設立したのです。以前の仲間に声をかけたところ、5人が応じて集まってくれました。その後少しずつ増えて現在に至っています。

融資申し込みの経緯

 創業資金は自己資金で800万円ほどを用意するとともに、日本政策金融公庫から500万円融資してもらいました。古い倉庫を借りてクリーンルームを設けるなどの設備費用や、初期にスタッフがメーカーの研修を受ける必要があり、その数カ月間の給与など運転資金に充当しました。
 2012年に事業所を現在地に移転した際、同じく工場の修繕費などのために公庫から1,500万円を追加融資してもらいました。

融資をめぐるエピソード

 私は以前、不動産業やアミューズメント業で、経営者の近くで仕事をしていたことがあります。その時、公的金融機関が金利も低く頼りになる存在であることを知りました。その後の人材派遣・請負会社では、日本政策金融公庫の土浦支店とお付き合いがありました。また、夫が地元の商工会の役員を務めていたこともあり、公庫とは何かと縁があったのです。したがって、創業資金の借り入れ先は公庫しか考えられませんでした。
 融資を申し込んだ土浦支店には、人材派遣・請負会社時代の私の業務姿勢をよく理解してくれていた担当者がいました。私は、100の見込みがあっても60程度にしか達しないこともあり得ると考えて計画を立てる慎重派のタイプです。また、何かものを買うにしても、ネットやチラシで金額を細かく調べてから買います。そういった“塵も積もれば”が大きな結果になると信じているからです。
 そうした私の姿勢、技術力を持ったスタッフを確保していること、そしてお客様からの要請がすでにあることなどを盛り込んだ実現可能性の高い事業計画を評価してもらい、スムーズに融資をしてもらいました。

ビジネスの現状と展望

 半導体産業は好不況の波が激しく、半導体製造装置業界にも直接波及し、当社もその影響をもろに受けています。創業2年目は初年度の3倍まで一気に増えましたが、3年目はその半分近くまで減りました。こうした繁閑差を埋めることは経営者の当然の責務として、ステッパーとは無関係なパチンコ台の部品組み立てや物流作業などの業務を開拓し、売上の平準化を図っています。
 好況の時に従業員を増やし、不況になれば解雇する、そんなことなら誰でもできるでしょう。しかし、会社経営とは従業員の雇用を守るためにあるということを、私は心に決めています。一度迎え入れた仲間を切り捨てるような思いは、もう二度としたくはありません。
 公庫の推薦で、全国商工会議所女性会連合会主催による第12回「女性起業家大賞」に応募しました。その結果、私のこうした姿勢を評価していただき、特別賞を受賞しました。本当に嬉しく思っています。

これから創業を目指す人へのメッセージ

 創業に踏み切れない人がたくさんいると聞きます。失敗は怖いです。しかし、精一杯やっての失敗なら、皆に「ごめんなさい」といえば神様は許してくれるのではないかと思います。
 それよりも怖いのは、チャレンジをしないことではないでしょうか。何もしないままで、後になって悔やむことほどつまらないこともないと私は思います。わからないことは、先輩や公庫に聞けば教えてくれます。思い切って相談してほしいと思います。私自身も一人ではないことを大切にしたいと思います。