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「科学技術立国」を支える人材を輩出したい


【サイエンス・ラボ ふくろう塾 代表 三上直彦氏】 (宮城県仙台市)

創業年月 2010年10月 事業内容 小中学生向け理科・科学の体験学習教室の運営
創業資金 500万円(うち公庫借入350万円) 従業者数 1人
TEL 022-295-7579 E-mail fukurou.jyuku@gmail.com

事業概要

サイエンス・ラボ ふくろう塾は、主に2つの事業を手掛けています。1つは、仙台市内の自宅での、小・中学生を対象とした理科・科学の体験学習教室の運営。光や音波、電流と磁界、物体の運動とエネルギー、化学変化と物質、生物の進化、生命と環境、太陽系と恒星といった科学の諸分野において、観察や実験・工作を通じて子どもたちに興味と理解を深めさせることが特徴です。 もう1つは、地域の小中学校へ出張し、”出前授業”や理科実験を行って理科教育の支援を行うことです。

創業の経緯

私は地元・東北大学理学部で学生生活を送り、大学院博士課程の後、そのまま助手として就職しました。その後、教授に就任し、定年と同時に名誉教授となって、今日まで研究活動を続けています。私の研究テーマは、レーザーを用いて分子や分子集団の構造を明らかにするというもので、水の分子が水や氷になる初期の振る舞いを世界で初めて解明し、その論文は、米国学術誌「SCIENCE」 にも掲載されました。 子どもの頃から、昆虫採集やアマチュア無線などが大好きな理科少年でした。そんなこともあって、昨今の子どもたちの「理科離れ」をさみしく思っていたのです。一方、教授在任中、「科学技術立国」を標榜する国の政策の一環として、地域の小・中・高校に出かけて”出前授業”を行い、先端科学の話をして興味を持ってもらうといった活動も手掛けていました。ところが、教育現場では先生方に余裕がなく、理科の実験などが満足に行われていない実態を知りました。つまり、「科学技術立国」はその大本で”掛け声倒れ”になりかねないことに問題意識を抱いていたのです。 定年退職後、引き続き研究活動ができる環境にありましたが、活動量は減少しました。そこで、ふんだんな時間を、学習教室や出前授業を手掛けることに使おうと思い立ちました。地域の子どもたちに理科への興味を持ってもらい、少しでも「科学技術立国」を担う人材を育てることに貢献したいと考えたのです。そして、自宅の庭にログハウスを建てて、そこを教室にしようと考えました。ログハウスの教室は、自然科学を教えるにはちょうど良い環境になると思ったからです。

融資申し込みの経緯

ログハウスは市販の資材を購入して自分で建てるつもりでした。費用の調達先をネットで探していたら、たまたま日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家資金」を知りました。まさに自分が対象者。さっそく申し込みました。 事業計画は、公庫のフォーマットに自分で計算しながら記入。さほど難しい計算ではなかったので、すんなり作成できました。

融資をめぐるエピソード

教室建設や備品関係の費用として350万円を申し込みました。私は以前から、相続した不動産で賃貸業を営んでいましたので、今回は第二創業にあたるとのことで、「女性、若者/シニア起業家資金」ではなく「新事業活動促進資金」の対象になるとのことでした。思っていたよりスムーズに、満額での融資を受けることができました。公庫の担当者には、大学名誉教授のこのような形の創業に興味を持ってもらえましたし、「科学技術立国への貢献」というビジョンに対しても、意義を感じてもらえたようです。 ところが、資金の手当てが済み、いざログハウス購入の最終契約の直前になって、庭にただログハウスを建てるだけでは建築確認申請が下りないことが判明しました。住宅密集地におけるログハウスは、周囲をトタンの塀で囲わなければならないという規定があったのです。周りを囲うのではログハウスを建てる意味がありません。泣く泣くログハウスはあきらめ、その資金で収まるように、自宅のリビングを改装して教室にすることにしました。

ビジネスの現状と展望

近所に小学校と中学校があり、自宅前はその通学路となっています。看板でも出せばそのうち生徒は集まるだろうと考え、それ以外の宣伝は行いませんでした。ところが、公庫が私の創業事例を地元の経済紙に紹介してくれて、創業前に記事に取り上げられたのです。さらに地元テレビ局の報道番組でも紹介されて、それらを見た人から問い合わせが続きました。創業直後に、小学生8人、中学生2人が来てくれ、家内の理解と協力にも支えられて、とりあえず順調なスタートを切りました 。当座の目標は全部で30人ですが、じきに口コミで集まりそうな気配があります。 子どもたちは、走って来るほど楽しみに通ってくれています。授業開始の1時間も前から来る子どももいるほどで、みんな目をキラキラさせて、楽しそうに実験や観察をしています。授業が終わっても、なかなか帰ろうとしません。そして、中には非常に頭脳明晰な子どもがいて、的を突いた疑問をぶつけてくるのです。どうやら、学校の先生や親に質問をぶつけても、満足に答えてもらえなかったようで、私が答えてあげると目を輝かせて納得してくれました。伸び盛りの子どもは、疑問をぶつけられる対象があるとグングン伸びるものです。私も手応えを感じますし、こうした子どもたちの中から、本当に将来の日本の「科学技術立国」を担う人材が輩出されると信じています。 「出前授業」のほうは、まだ依頼がありませんので、教育委員会などへの働き掛けや先生方とのネットワーキングを強める必要性を感じています。これからの大きな課題ですね。

これから創業を目指す人へのメッセージ

私が「ふくろう塾」を創業したことで、「実は自分もやりたかった」と言い出した学者仲間が何人かいます。自分をモデルケースにして、後に続く人がたくさん出ればいいと思います。また、そんな人たちとネットワークをつくり、より科学の楽しさを子どもたちに広げるべく助け合っていければ良いと考えています。

日本政策金融公庫 国民生活事業 担当者への質問

 融資を決めたポイントは何ですか?

大学教授として長年、科学の研究・教育に従事されており、知識・経験ともに十分備えられていました。子どもの理科教育に問題意識を持ち、解決すべく取組んでいらっしゃる姿勢に熱意を感じ、ぜひとも支援させていただきたいと思いました。

日本政策金融公庫 国民生活事業を活用する方法を具体的に教えて下さい。

三上様が当初調べられた「女性、若者/シニア起業家資金」は、女性または30歳未満か55歳以上で、創業前および創業後概ね5年以内の方が対象となる融資制度です。その他にも多くの方が対象になる「新規開業資金」や、三上様が利用された事業転換や多角化など第二創業のための資金「新事業活動促進資金」等さまざまなご融資を取り扱っています。融資制度やお申込のご照会は、事業資金相談ダイヤル「0120-154-505」や各支店へお気軽にご相談ください。お待ちしています。