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ひとり家電メーカー! 「真・善・美」の精神で世の中を変えるモノ作りを目指す


Bsize(ビーサイズ)株式会社 代表取締役 八木啓太氏

創業年月 2011年2月 事業内容 家電製品の企画 設計 製造 販売
資本金 500万円 利用した融資制度 新規開業資金
従業者数 1人 URL http://www.bsize.com/

事業概要

「家電メーカー」をしています。企画を立てて家電製品をデザイン・設計開発・評価検証をし、ブランディングから販売に及ぶまで私一人で行っています。 これまで大手メーカーにしかできないと思われていた製品作りですが、作るための道具やソフトウェアが安価になり、個人でも製造業に参入できるようになってきました。 弊社の第一弾製品となったSTROKE(ストローク)は、モノ本来の色を忠実に再現し、目に優しく自然光に近い光を取り入れたLEDデスクライトです。鉄とアルミから成る細いパイプ1本を曲げただけのシンプルなデザインと、リサイクル性が高く省エネルギーで長寿命な設計にこだわりました。 創業時から最近まで、組み立てから発送まで私一人で行っていましたが、注文が伸び始め、製造台数を増やすため、今は近くの工場に組み立てを外注しています。そのお陰で企画開発の時間が確保でき、さらなる新製品の開発にも取り組めるようになりました。

創業の経緯

高校時代、自宅にアップル社のiMacがありました。スケルトンでかわいらしいそのPCを見て、デザインひとつで製品はこんなに魅力的になるんだ、と惹きつけられました。その頃から、自分でモノづくりをしたいと考えるようになり、カッコいい製品を作りたいという思いで進路を考えたのですが、どの学部で学んでも、一つの領域の知識だけでは製品作りはできないことに気がつきました。製品作りに最低限必要なのは、電子工学や機械工学などの“テクノロジー”と、魅力的な“デザイン”です。それらを必要なパーツととらえ、ひとつ一つ不足しているパーツを埋めるため、まず大学では電子工学を選択し、大学院終了までの6年間、回路設計技術を学びました。 就職活動では、機械工学を学びながら知識を実践できる職場を探した結果、富士フィルム㈱に機械工学の設計技術者として採用され、入社後は5機種の医療機器の企画開発から量産までに携わりました。その頃、デザインも仕事をしながら独学し、土日には様々なデザインコンテストに応募しました。 4年間でモノづくりに必要となる行程や技術が一通りわかるようになり、初期投資はかかるけれど、工夫すれば自分でやれる、という実感を得たのです。すべてのパーツが埋まり、一本につながったタイミングでした。がむしゃらに働き、いつの間にか貯まっていた1000万円を資本に、2011年2月に個人事業主として独立しました。27歳のときでした。まだ、たった一つ、製品のプロトタイプがあるだけでの決断でしたが、家族やのちに結婚した妻からも「いずれは独立すると思っていた。やるなら若いうちがいい」と背中を押してもらうことができました。

創業からデザイン賞のW受賞、融資申し込みまで

創業後、自己資金を使い切るまでに製品化しようと目標を掲げ、10ヶ月かけてSTROKEを制作しました。優れた機能が、美しいデザインとともに生活にとけ込んで使われるような家電を作りたいと考え模索した結果、医療機器に使われているLEDを使用した卓上ライトに行きついたのです。見た目同様、シンプルな作りなんだろうと思われるかもしれませんが、実は15社から調達した20部品から成る複雑なライトです。 やっと製品の設計を完了させても、東日本大震災の影響もあって、部品の調達先を探すことに大変苦労しました。創業前は、「勤務時代にお世話になった会社に頼めばいいや」と軽い気持ちでしたが、実際はそんなに甘くありませんでした。「大企業としか取引できない」と何社にも断られ、すがるような思いでフェイスブックの町工場の人たちが集まるコミュニティに参加させていただいた結果、ご協力いただける企業と出会ったのです。 こうして製品を完成させ、2012年の1月にSTROKEの販売を開始しました。発売に先立ち、STROKEは2つのデザイン賞を獲得していました。「グッドデザイン賞」とドイツの「レッドドット・デザイン賞」です。無名の会社が作る製品をお客さまに安心して手に取っていただくためには、第三社機関のお墨付きが必要だと考えて試作段階で応募していました。機能性、革新性、エコロジー、などさまざまな審査基準があり受賞は困難と言われているものなので、受賞の知らせを聞いたときはとてもうれしかったですね。 退職してからの状況を心配してくれていた友人たちにも、製品を発売したことでようやく活動を理解してもらうことができました。デザイン賞の受賞は、自社のブランドをきちんと伝えるための効果的な取り組みになったと思っています。 受賞効果もあって順調に売り上げは伸び、また「ひとり家電メーカー」という呼び名で、様々なメディアに取り上げていただくようになりました。 2012年7月頃に、ある有名なテレビ番組で弊社を特集していただくことが決定し、今までのメディア実績と番組視聴率から鑑みて、10倍の売上を見込みました。これまでの100台/ロットではなく、1000台/ロットの生産体制を整えることが急務だと考えたのです。 手持ちの資金では足りず、放映されるまでに時間もなかったことから、融資を申し込むことにしました。 私自身は知識がなかったのですが、知人に相談したところ、日本政策金融公庫のことを教えてもらいました。法人化してまだ1年も経っていない時期でしたが、小田原支店に行ってみることにしました。

融資をめぐるエピソード

はじめは融資のプロセスも知らず、厳しい審査でダメ出しをされるのではと思い込んでいました。しかし、公庫の担当の方は私と同じ年の男性で、小田原に製造業で起業する人がめずらしいということもあり、「八木さんの夢に乗って協力できるのがうれしい」と全面的に応援してくださいました。事業計画書などの書類作りにもたくさんのアドバイスをしてくれて、番組放映までにと焦っていた気持ちが少し和らぎました。非常にスピーディーな対応をしていただき、2000万円の融資が決定。支店に足を運んでから入金までわずか3週間ほどでした。材料を確保し、量産体制を整えていたため、放映後の大量注文に対応でき、創業当初の販売計画、発売初年度400台を早期に達成できました。このタイミングを逃したら、いつ次にチャンスがくるかわからないと思っていたので、本当にありがたかったです。公庫はあたたかく応援してくださるパートナーだと感じています。

ビジネスの現状と展望

弊社は「デザインとテクノロジーと社会貢献」をミッションに掲げています。ギリシャ哲学「真・善・美」=「学問と道徳と芸術の追求」からヒントを得たものですが、デザイン(芸術)とテクノロジー(学問)と社会貢献(道徳)の全てがそろったモノづくりをしていくことが、何百年たっても「いい商品だね」と言ってもらえる普遍的な価値をユーザーに提供し、世の中を良くしていくことにつながると考えています。 モノを買ってから捨てるまでユーザーとメーカーがつながっていられるような、本来のモノづくりを実現していきたいと思っています。そういう気持ちを忘れないよう、「美(B)・真(si)善(ze)」の頭文字から社名をBsizeとしました。 「ひとり家電メーカー」では、私個人の限界が、企業としての限界になってしまいます。自分一人のリソースや能力を超えて企業活動を行う為に、製品開発のプロセスを仕組みとして自動化したり、社外の技術と効率的に連携して、より良い製品を開発、提供していきたいです。「ひとり家電メーカー」の最大のメリットである、「最初から最後までトータルで把握できる」点は、これからも大切にしたいですね。 今後は早い段階での海外展開も考えています。デザインとテクノロジーは世界共通。たとえ小さな企業でもグローバルメーカーになれると信じています。 一人でメーカーをやっているとは言うものの、決して一人で全ての工程を担うことはできません。たくさんの方々にご協力いただいて、製品が完成しています。これからも状況ごとに協業しあい、関わる誰もにメリットを供与できるモノづくりを実践し、私個人も、企業としても、成長していきたいと思っています。

これから創業を目指す人へのメッセージ

私はモノづくりがとにかく「好き」だから、ずっと向き合ってこられたのだと思います。勉強だと思っていないうちに知識や技術が身につきました。好きなことだったから、辛い時期も乗り越えられた。 製造業での創業を目指す方がいれば、何でもいい、とにかく何かひとつ作ってみることが大きな一歩になると思います。上手くいく保障は得られませんし、どうなるかわからないからこそ挑戦する価値がある。やりたいという強い思いがあれば、まずはじめてみることで、もっとこうした方がいいとか、自分に足りないものがわかってきます。それをブラッシュアップしていけばどんどん進んでいくことができるはずです。 私も数年前まで個人でメーカーができるなんて思っていませんでした。でも、その時々のタイミングで行動していくうちにわかってきたことがたくさんあり、個人とメーカーの境目はないということにも気がつきました。 行動してみる事で道が開けるというのは、モノづくりだけではなくすべてに当てはまることかもしれません。

日本政策金融公庫 国民生活事業 担当者への質問

 融資を決めたポイントは何ですか?

八木様は、「創業したい」という意志が強く、そのために大学進学時から準備をされていましたので、ご家族の協力はさることながら、知識と経験が備わっていました。公庫に来られた時、不足していたのは、創業計画書にどのように自分のプランをおとしこむかということだけでしたので、少しだけ助言をさせてもらいました。創業当初、販路開拓に苦労される方が多い中、八木様はすでにいくつものメディアに取り上げられており、見込み顧客もある程度予測がつきました。融資は2000万円と高額でしたが、担当者としては、自信を持って上司に説明ができました。
~創業計画書の書き方等がわからない方は、全国152支店創業サポートデスクまでお問い合わせください~

Bsize(株)様が受賞したグッドデザイン賞とはどのようなものですか。

グッドデザイン賞は、1957年に創設された日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の仕組みです。受賞のシンボルである「Gマーク」は、よいデザインを示すシンボルマークとして広く親しまれています。
毎年4月に応募が開始され、1次審査、2次審査を経て11月に受賞発表となります。応募から受賞までにかかる費用の目安は、22万円です。その他、受賞者がGマークを使用する場合、一定の使用料がかかります。


※グッドデザイン賞のHPから抜粋