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大学発バイオセンサで人々の幸福度を上げる!


有限会社バイオデバイステクノロジー 代表取締役 民谷 栄一氏

創業年月 2003年7月 事業内容 印刷電極、バイオセンサ、「イムノクロマト」高感度化チップの開発、販売
資本金 200万円 利用した融資制度 経営環境変化資金 1010万円
従業者数 7名 URL http://www.biodevicetech.com/

会社概要

当社は、2003年7月に北陸先端科学技術大学院大学 材料科学研究科(現 マテリアルサイエンス研究科)の私を含めた教官6名が出資し、設立した大学発ベンチャーです。大学のもつ知の力、研究ネットワークを活かして、大学での研究成果の事業化、教官が研究を通じて得た成果を実用化するために不可欠である他企業との連携の橋渡し、そして産学連携によるイノベーションの創出を目指しています。 私は当社を設立した当時、北陸先端科学技術大学院大学で研究室を持っていたため、大学に隣接したインキュベーションラボ施設内に本社を構えました。現在は、大阪大学の教授へと異動したこともあり、大阪と北陸を行ったり来たりしていますが、北陸の当社の研究室に信頼のおけるスタッフが常駐しており、地元の研究者をパートとして数名雇い、実験、開発等を行ってもらっています。

事業概要

当社は、主に社名の通り、「バイオデバイス」の開発、販売を行っています。その中でも印刷電極と携帯型電気化学装置を用いた各種バイオセンサーと「イムノクロマト」高感度化チップの開発、販売等に力を入れています。「イムノクロマト」とは、アレルギー検査、妊娠検査薬や、インフルエンザ判定など幅広い分野で用いられる分析手法です。この手法は、特別な測定機器を用いずとも目視で診断できる簡便な方法ですが、一般に感度が悪く、測定できる対象が限られる欠点がありました。当社では、高感度検査が可能なイムノクロマトチップを開発し、検査対象の拡大や、判定時間の短縮に成功しました。 また、いろいろな業種の会社から製品開発を委託され、新たな製品開発の手助けもしています。たとえばこれまでに、イムノクロマトに関する製品だけで19件、殺虫剤検出キットを2種類、電気化学バイオセンサーを6件、印刷電極を6件手がけました。 私個人で所有する特許数はすでに100以上ありますが、これらの特許は、他社に対抗するための“防御特許”、というより新たな技術を進展させたいという気持ちが大きいですね。たとえ自分でこれはと思う技術を思いついても、実際に出願して審査請求を行い、最終的に権利化されるまでは、本当に技術力が高いのか、新規性があるのかわからないからです。権利化されたものについては、商品化の優先順位を上げて、いち早く市場に出すように動きます。新しい技術が多くの人の目に触れ、競合他社も出現し、さらに市場が活性化されます。大学発ベンチャーの貢献がひいては人々の生活を良くすることにもつながることを期待しています。

融資申し込みの経緯

2012年に、経済産業省のグローバル技術連携事業で、創業支援補助金(創業枠)を受けました。これは、2010年2月に商品化した超小型ポテンションスタット「BDTminiSTAT100」を基にした「モバイル型生菌センサ」を開発するためでした。 しかし、補助金だけでは開発資金が足りず、取引先からの紹介で、日本公庫に融資をお願いすることにしました。融資担当者に、当社の製品概要を紹介するのは簡単ではありませんでしたが、一生懸命、言葉を選びながら製品の良さや事業化の見通しについて説明したのを覚えています。 モバイル型生菌センサとは、食物に含まれる生菌を、電極を用いて計測する機器です。当時、市場に出回っていたのは1台300万円前後、OA機器ほどの据え置き型で、結果が出るまで48時間もかかるものでした。一方、当社の製品は、1 台30万円、名刺サイズで、パソコンにUSBケーブルでつなげばどこで測定してもわずか30分で結果が出るのです。製品化にあたっては、製造先(OEM先)を見つけるのに相当苦労しましたが、結果的に、大手企業を早期退職した人たちが設立したベンチャー企業に協力してもらえることになったのです。 当社の技術力や製品化の見通しが正当に評価されたのか、無事、融資を受けることができました。特に、食品加工•流通、植物工場などへの検討が進んでいます。

ビジネスの現状と展望

現在、力を入れているのは、健康を維持するためのヘルスケアと食の安全安心のためのバイオセンサー開発です。特に後者の例として最近“ハラルサイエンスビジネス”に関わっています。「ハラル」とはもともとイスラムの戒律を守るもの、といった意味を持ち、イスラム教を信じる人々が増える(世界の四分の一)につれ、ハラル食品やハラル製品を作るビジネスが世界的に盛んになってきているのです。 当社は、イスラム教国のブルネイ政府から委託を受け、ハラル製品用のバイオセンサーの開発を行っています。たとえば、イスラム教では、豚肉に触れることも食することも禁じられているため、当社の電極型のバイオセンサーを用いて、市場に製品や食品が流通する前に、豚肉が紛れていないかチェックをするのです。「豚肉は一切使っていません」と広告されていながら、実際は数%含まれているケースもあります。現在、ほんのわずかな豚肉も計測できるように、このセンサーの精度をさらに上げる工夫をしています。また、日本国内大手の貴金属会社とも連携し、豚肉検出用のイムノクロマトが開発販売されています。意外かもしれませんが、純度の高い金がセンサーの精度を上げるのに役立つのです。 また、日本国内で言えば、ある省庁のプロジェクトに参画し、超高齢社会で未病チェックに役立つ製品の開発に携わっています。1人でも多くの人に、当社の製品を利用していただき、人々の幸福度が上昇することを願っています。利用していただく大前提として、当社の手掛ける製品は訳のわからないものではなく、皆さんの周りにたくさん存在する一般的なものだということを理解していただけるよう、努力もしていかなくてはと思っています。「バイオデバイス」なんていう堅苦しい社名ではなく、一度聞けば製品が思い起こせるような社名に変えても良いのかもしれません。(笑)。

これから創業を目指す人へのメッセージ

私たちのような開発型のビジネスを始めたい人は、まず失敗ありきだと開き直ってほしいですね。 開発途中で何度も何度も失敗します。テーマによりけりですが、当社の場合は、20~30%の成功率です。何度失敗するかで成功数も必然的に変わってくるので上手くいかなくても決して諦めず、優先順位をしっかり定めて自分の追い求めるものに向かって粘り強く進んでください。私は失敗した時の方が、「なんとかしてやろう」という気になり、やる気が出ます。しつこいくらいの方が結果として上手くいくと思っています。もちろん、補助金や、協力先、日本公庫の制度などを上手く利用して資金集めをする必要はありますので、困ったらまず日本公庫に相談だけでも行ってみてはいかがでしょうか。

日本政策金融公庫 国民生活事業 担当者への質問

 融資を決めたポイントは何ですか?

民谷様は、いわゆる研究者タイプで口数が多い方ではありませんでしたが、面談時に、こちらの質問に対して丁寧に回答してくださいました。会社の方針や、製品内容等についても担当者がわかるように説明をしてくれました。大阪大学の教授職との二足のわらじで、当社に注力できるのかやや不安があったのですが、実際は、民谷様の右腕とも言える有能な研究員が経理面も含めてしっかりとサポートされており、不安は解消されました。最終的には、私たちの社会に有益な事業であることもかんがみて、ご融資させていただくことになりました。

製品開発途中でも、融資が受けられることがあるのですか。

はい、あります。
日本公庫では、先進性、新規性または技術力の高い事業であり、今後の発展が見込まれる有望な事業について、売り上げを上げるまでに時間がかかる企業様に対して「挑戦支援融資制度」をお勧めしております。税務申告2期未満の方は1,000万円、2期以上の方は2,000万円を上限として融資のご相談を承ります。いくつか条件がありますが、保証人や担保は不要で、期限が来るまでは年利5.3%の固定金利のみをお支払いいただき、期限が来たら一括返済をしていただくという制度です。その他、「劣後特約」を締結していただきます。これは、万一、借主様が法的倒産となった場合に、ご融資金の返済順位が他のすべての債権に対して後順位となる特約をいいます。本制度は2013年4月に拡充が見込まれているため、詳しくは、HPをご覧いただくか、事業資金相談専用ダイヤル(0120-154-505)までお問い合わせください。