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金沢を世界のゲーム制作の聖地に!


株式会社グランゼーラ 代表取締役 名倉 剛氏

創業年月 2011年4月 事業内容 家庭用ゲームソフトの企画・制作・販売・3D映像の制作
資本金 1850万円 資本金に加え資本準備金1000万円 売上高 1.5億円(2013年3月期予定)
従業者数 29人(役員含む) URL http://www.granzella.co.jp/

事業概要

ソニーコンピュータエンタテインメント(以下「SCE」)の3Dオンライン・ユーザーコミュニティサービス「PlayStation®Home」で、“ラウンジ”と呼ばれる仮想空間を日本、北米、アジア、そしてヨーロッパで開設しています。また、SCEの家庭用ゲーム機「PlayStation®3(PS3)」や携帯ゲーム機「PlayStation®Vita」用のゲームソフトの企画・開発も手がけており、2013年2月に発表があった、2013年発売予定の「PlayStation®4」にも参入することにいたしました。 ゲーム機PlayStation®3をインターネットにつなぐことで遊べるプラットフォーム「PlayStation®Home」は、ユーザーが「アバター」と呼ばれる分身となって、さまざまなラウンジでほかのアバターとコミュニケーションをしたり、ラウンジ内のゲームを楽しんだりして過ごすオンラインの“コミュニティ”です。当社を含めゲーム会社がさまざまなラウンジをリリースしていますが、当社は2013年8月現在で『もうひとつの砂浜』『ネオンがしみる繁華街』『大江戸・大商店と長屋』『南の島の隠れ家』『夕暮れのグランゼーラ広場』という5つのテーマラウンジを展開しています。ラウンジには無料で入ることができますが、それぞれのラウンジで楽しく過ごすためのコスチュームをはじめ、ゲームで使う刀や南の島で楽しむ水上バイクといったアイテムを数百円で買うことができます。このアイテム販売収入が当社の「PlayStation®Home」事業における売り上げになります。 ゲームソフトは、2013年秋に「PlayStation®Vita」用の第1作をリリース予定です。

創業の経緯

私は以前、エンターテインメント会社でゲーム事業のマネージャーを務めていました。しかし、経営方針の変更により、私が手がけていたゲーム事業を縮小することが決まったのです。縮小すれば、私達が世の中に出したいゲームが作れなくなってしまう。そこで、経営者に了承を得た上で、ゲームクリエイタ―の九条一馬を含むメンバー7人とともに当社を設立してサービスを開始することにしました。 大阪出身で、仕事の関係で東京へも頻繁にでかけていた私が、大阪でも、東京でもなく、金沢で創業しようと思いついたきっかけは、以前の勤務先が石川県にあることだったのですが、実際に創業計画を立ててみると、金沢(石川県)での創業にはもっと大きなメリットがあることに気づきました。 私自身、8年間大阪で働いていましたが、都会では1時間以上も通勤ラッシュに苦しめられます(笑)。一方、金沢での通勤は車で15~30分程度の距離に住め、好きな音楽を聴きながら通うことができます。近くにスキーや温泉、釣りができる場所があり、会社帰りに楽しむこともできます。このようなことは、クリエイティブな仕事をするうえでは、とても重要だと思いました。オフィス賃料も大都市はとても高額ですが、金沢であればある程度抑えられます。 一方、仕事はインターネットのおかげで東京にいるのとあまり変わらない環境で行えます。毎週、アメリカやイギリスにデータを送信しますが、この点では、東京でも大阪でも、そして金沢でも何ら変わりなく仕事ができます。 また、東京、大阪へ行く場合でも、金沢からはとてもアクセスがいいです。さらに、2015年には新幹線が東京-金沢間で開通します。 ゲーム会社として、東京、大阪と金沢のどこがよりクリエイティブで経営しやすい環境かを考えれば答えは明白でした。 創業資金は600万円で、資本金の300万円は私ともう一人の取締役が出資し、残り300万円は社員全員で出し合いました。

起業家コンテスト申し込みの経緯

以前の勤務先が石川県にあった縁で、創業支援機関である(財)石川県産業創出支援機構(ISICO)さんともつながりがありました。そこで、会社を設立したご挨拶状をお送りしたところ、すぐに担当者の方が「革新的ベンチャービジネスプランコンテストいしかわ(起業家コンテスト)」の案内を持って来社されたのです。創業直後で忙しかった上に、当社などとても縁がないと及び腰だったのですが、大変熱心に誘っていただきましたので、それならば、と出場することにしたのです。出場するからにはちゃんとやりたいと思い、毎週のようにISICOさんに相談に乗ってもらいながら準備を進めました。本番前日には何度もリハーサルに付き合っていただきました。その結果、最優秀起業家賞を獲得することができたのです。これは本当にびっくりしました(笑)。

融資をめぐるエピソード

受賞特典として、500万円の事業の補助金をISICOさんからいただいた他に、公庫の審査に通れば特別利率で借入ができるとの特典もありました。そこで、ISICOさんから紹介を受けた中小企業診断士や公認会計士といった専門家から事業計画の策定や資金調達などのアドバイスを受けて公庫への申し込みに必要となる事業計画書などを作成しました。おかげでスムーズに2種類の制度を使って合計2000万円の融資を受けることができました。 公庫の融資担当者と面談して驚いたことがあります。それは、担当の方が当社についてよく調べてくださっていたことです。創業してから、金融機関などに当社の事業内容を説明しても、なかなか理解していただけなくて苦労していましたが、公庫の担当の方は「PlayStation®Home」の基礎知識を踏まえて深い質問をたくさんしてこられたのです。当社に真剣に対峙してもらえているように思えて、新鮮でうれしかったですね。

ビジネスの現状と展望

「PlayStation®Home」には黎明期からかかわっており、SCEの公式ホームページには、当社のクリエイター九条について「世界最多のラウンジの設計者」と紹介していただいています。私たちにはSCEと二人三脚で「PlayStation®Home」を大きくしてきたという自負があります。現在でも、毎月のようにお互いの会社に行き合ってさまざまな打ち合わせをさせていただいております。 「PlayStation®Home」のラウンジ設計には、ラウンジのどこにいても、ラウンジ内に設置された他のサービス・ゲームをプレイするユーザーさんの姿を見せるようにしたり、たくさんのアバターが参加されていてもラウンジがごちゃごちゃしないように見せる工夫、逆に参加してくださっているユーザーさんが少ないと盛り上がりに欠けるので、賑わっているように見せる工夫が不可欠です。当社にはこれらの設計ノウハウ・設計技術や、PS3などの最新のゲーム開発技術があります。簡単な技術ではないため、大きな参入障壁になると思っています。 今後も国内、海外の「PlayStation®Home」には力を入れますが、ゲーム会社としてのブランドを確立させていくためにも、オリジナルのゲームソフトの開発・販売にも積極的に取り組んでいきたいと思います。手始めに、あらたな制作スタジオを本社から車で20分ほど離れたところに設けました。PlayStation®Home制作・運営、ゲーム制作、Webコンテンツ制作・運営、CG映像制作などいくつものプロジェクトをそれぞれの制作スタジオに割り振り、スタッフ一人一人がその時やるべきことを絞り込んで集中できる環境をつくりました。創業間もない時期にオフィスを分けるのは会社の一体感が薄まるというリスクがありますが、メリットも大きいと思っています。こまめな情報共有などでリスクを軽減してゲーム開発を含む各プロジェクトが連鎖的に遅延しない形をとる決断をいたしました。この取り組みの最初の成果として2013年秋には新作ゲームの第1弾をリリースする予定です。 さらに、会社として力を入れていることがもうひとつあります。起業家コンテストの受賞理由にもなったことですが、「金沢デジタルエンターテインメント構想、金沢を世界のゲーム制作の聖地にする)」の実践です。将来、金沢でゲーム制作にかかわるクリエイターや制作会社を少なくとも100社集めて、世界のゲーム制作の聖地にしようという構想です。翻訳業界やウェブサイト業界など、一見ゲーム制作とは無縁に見える会社さんでもゲーム制作に協力いただける業種はたくさんあります。このような会社さんにも広く協力してもらい、金沢・石川県をエンターテインメント発信の中心にしたいと考えています。 また、現在ゲーム制作志望の金沢の学生がこれらの会社へ就職できるようにする試みとして大学や専門学校で当社のスタッフがゲーム制作の講座を無償で務めています。 単に、ゲームの作り方を教えるのではなく、実際に学生が作ったものを有料で販売・配信する前提で本気で作品を制作してもらっています。商品化・サービス化が前提なので、私たちもプロとして率直な意見を言います。学生の方も、“学生だからこのレベル”という甘えが通用しない状況の中で、真剣にゲーム作りをしています。このような体験をした学生たちに、ゲーム会社へ就職して活躍してもらい、ゲームクリエイターの生産地としての金沢ブランドをあげていこうという試みです。当然、当社へ入社を希望する学生はどんどん受け入れていきます。さらには、他のゲーム会社に金沢にスタジオを開設していただくよう働きかけ、学生が金沢でゲーム会社を設立したいと言えば積極的に支援していきたいと考えています。将来的には、金沢の地を加賀友禅や金沢箔といった伝統産業だけではなくゲーム産業でも名の通った街にしていきたいと思っています。

これから創業を目指す人へのメッセージ

経営陣は、目的は同じでも強みやキャラクターが別という人材で構成されたほうがいいと思います。 「PlayStation®Home」のラウンジ運営では、自信を持って売り出したアイテムが思ったように売れないこともあります。そういう時、楽観的な私は「自分たちがうまくいかないはずはないから、自信持っていこうよ」とスタッフに声をかけます。一方、堅実なもう一人の取締役の方は、どうすればうまくいくかを理論的に考えて解決策を見つけようとします。この組み合わせがいいみたいですね。 海外との取引割合が多く、取引先によっては売り上げの入金タイミングが四半期単位のため遅くなったり、為替の影響を受けたり、新たな作品を生み出す時など、経営にはさまざまな困難も伴います。その時々で、もう一人の取締役やマネージャークラスのスタッフとよく話し合い、進むべき方向性を定めています。 事業の成功には差別化が必要だと思います。当社は他社の状況を気にして「この種類のゲームが売れ筋だから」といった理由で類似品を手がけるようなことはしません。当社にしかできない、オリジナリティのある作品に特化していくと決めています。この方針で突き抜けて行こうと思っています。まだ、私たちの夢は始まったばかりですので現時点でえらそうなことは言えませんが、これから何かを始める方には核たるものを持って進むことをお勧めします。

日本政策金融公庫 国民生活事業 担当者への質問

 融資を決めたポイントは何ですか?

最初にお会いした経理ご担当の西村様から、既存のラウンジでキャッシュを生み、そのキャッシュを新規のゲーム開発に充てるという収益モデルや、将来のビジョンを明確にご説明いただきました。 社内で意思統一されたビジョンをわかりやすくご説明いただく中、名倉代表との緊密な信頼関係も垣間見え、社内のまとまり=チーム力の強さを感じました。このようなチーム力のある企業ですから、ビジョン通りの展開ができ、日本を代表する企業に育つと判断し、お手伝いをしたいと思いました。 今回グランゼ―ラ様にお使いいただいた融資制度は、「新創業融資制度」と「挑戦支援融資制度」です。詳しい制度の説明をご希望の方は、事業資金相談ダイヤルまでご連絡ください。

創業支援機関(財)石川県産業創出支援機構(ISICO)担当者への質問

革新的ベンチャープランコンテストいしかわ」とはどのようなコンテストですか。
当支援機構は都道府県等中小企業支援センターとして、2年以内に石川県での起業を予定する方(起業後3年以内の方を含む)の中から、飛躍的な成長が期待できる方を「革新的ベンチャープランコンテストいしかわ」で認定し、バックアップしております。この起業家コンテストの最終審査(一次、二次選考通過者が対象)は、公の場でプレゼンテーションを行い、審査員である著名な経営者や各金融機関から評価やアドバイスが受けられます。また、当日、会場には多くの経営者、支援機関担当者、投資家の方が来場されるため、マッチングの機会ともなっております。 コンテストの入賞者には最大500万円の補助金や支援チームによる事業化への集中支援、日本公庫への融資申し込みの取り次ぎ、インキュベーション施設への無料提供等、さまざまなバックアップを行っています。例年夏に6月中旬から募集を開始します。全国からのご応募をお待ちしています。