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エネルギー・化学産業を“省エネ・高効率・コンパクト”に!500兆円のエネルギー・化学産業の1%を取りに行く


マイクロ波化学株式会社 代表取締役 吉野 巌氏

創業年月 2007年8月 事業内容 マイクロ波を活用したプロセスリノベーション事業
資本金 26億1831万円(資本準備金13億290万円含む) 利用した融資制度 挑戦支援融資制度(国民生活事業)
従業者数 41人 URL http://www.mwcc.jp/

事業概要

私たちは家庭の電子レンジにも使われているマイクロ波を用いた革新的なプロセスで、これまで利用できなかった原料を使用することや、これまで用いられてきたプロセスより省エネルギーかつ効率良く製品をつくることを可能とします。こういった事業を“プロセスリノベーション事業”と呼び、何かを新たに作り出すというよりも、どのように既存のプロセスを改善するかに重点を置いています。 革新的なプロセスを用いた第一号製品として、バイオマス(化石燃料を除く再生可能な生物由来の有機性資源)を原料にインクや樹脂などの化成品を製造する事業に乗り出しています。 現在の石油化学産業は大きなプラントを必要としておりますが、当社が確立したプロセスでは、10分の1以下のコンパクトなスケールで生産を行うことが可能です。さらに、反応時間を10分の1に短縮することができたことで、原料を流しながら反応させ、大きなリアクター(反応釜)を設置する必要がなくなりました。しかも、原料は食用油やシャンプー、石けんなどの製造プロセスから出る非可食資源である廃油。価格が乱高下する原油ではなく、無価値の廃油を再利用することで、環境保全に大きく貢献するだけでなく原料や製造プロセスのコストを大幅に削減することができるのです。

創業の経緯

私は以前、総合商社の化学品部門に勤務していました。ちょうど10年経った時に、何か新しいことにチャレンジしたいと退職してアメリカのビジネススクールに留学したのです。留学先のたまたまカリフォルニア大学バークレー校の学生は皆ベンチャーを志向するような雰囲気に溢れていました。そして、私もいつしか興味のあるエネルギーや環境分野で起業したいと思うようになりました。 MBAを習得した後、ベンチャー支援のコンサルティング会社に入社しましたが、他人の支援ではなく自分の起業に精力を注ごうという思いが募り、2006年に当時脚光を浴び始めていたバイオ燃料分野での起業を決意しました。「エネルギーは、これからは“創る”時代」といわれていたことに共感したのです。 そして、事業化を模索している時に商社時代の仲間から紹介されたのが、世界のマイクロ波研究ではトップクラスの大阪大学の研究グループでした。キーとなる触媒技術について相談したところ、「マイクロ波で加熱したらいけるのでは?」とアドバイスされ、さっそく実験してみたところ光明が見えたのです。事業化のメドが立った2007年、創業しました。 この時点では、バイオ燃料はコストパフォーマンスなどの点ですぐに事業化するのが困難だったため、まずは合成樹脂や界面活性剤などの原料で、より事業化しやすい脂肪酸エステルの合成にターゲットを絞ることにしました。

融資申し込みの経緯

当初の資本金600万円は全額、自己資金を充てました。しかし、それでは到底足りませんので公的な助成制度を探し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けることができました。 さらに、2009年に入居した大阪市のインキュベーション施設「島屋ビジネス・インキュベータ」から日本公庫国民生活事業を紹介してもらい、「挑戦支援融資制度」(注1)を利用して2000万円の融資を受けることができました。これは、担保や保証人が不要で10年後に一括返済すればよいという出資に近い融資なので、当社のようなベンチャーにはとてもありがたい制度だと思います。 これらの資金で、マイクロ波リアクターの試作機や、神戸市の「もの作り復興工場」内に世界最大規模のパイロットプラント(注2)をつくりました。 (注1)「挑戦支援融資制度」は、平成24年度第一次補正予算で内容を拡充した他、名称を【挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)】に変更しました。詳しい制度の内容は、当公庫HPをご欄ください。 (注2)パイロットプラントとは、実用プラントとほぼ同様の機能を持った試験質的段階と実用段階との中間に位置するプラントのこと。

融資をめぐるエピソード

リーマン・ショック直後の当時、金融環境は最悪でしたので、公庫の融資決定で一息つけて本当にうれしかったですね。事業パートナーに思わず電話をして報告したことをよく覚えています(笑)。 融資審査では、公庫の担当者は売上や収益性だけでなく、当社の技術や市場性のポテンシャル、社会にとっての意義といったことまで考えてもらえたと思っています。とても親身に対応してくれましたし、融資決定で大いに勇気づけられました。

ビジネスの現状と展望

2012年8月に、パイロットプラントからドラム缶2本の脂肪酸エステルを化学品メーカーに初出荷しました。感無量でしたが、通過点に過ぎません。 目下、2013年末に大阪市内に年間3000~4000トンの生産ができる世界初のマイクロ波化学による大規模バイオリファイナリー(注3)工場を完成させる計画を進めています。これを突破口に、当社の技術をエネルギーや化学産業に広めていくことが大きな事業テーマです。 当面は脂肪酸エステルに集中して取り組んでいきますが、量産体制や社会的受け入れ体制が整うことを睨みながら、バイオ燃料にも展開していきたいと考えています。また、大阪工場の次は、コスト競争力が高く、パームオイルの一大生産地である東南アジアに工場を進出させることも検討しています。 (注3)バイオリファイナリ―とは、再生可能資源であるバイオマスを原料に、バイオ燃料などを製造するプラントや技術のこと。 世界のエネルギー・化学産業の市場規模は約500兆円。その1%で5兆円です。マイクロ波化学分野はまだ0%。これを1%にまで持っていくことができれば、ひとまず満足です。

これから創業を目指す人へのメッセージ

私が起業を思い立って6年ほどでここまでたどり着きました。創業時は2人からのスタートでしたが、今では26人の仲間と切磋琢磨しながら仕事をしています。 当時は、90%の人が「できない」と考えるような起業テーマだったと思います。そこを打ち破っていくところにこそ、ベンチャーの意義があると思います。逆に90%の人が「できる」と考えるようなビジネスでは成功しないと思います。 助成金や融資を受けていることはプレッシャーにはなっていますが、そのプレッシャーがあるからこそ、破たんしないように前に進めていこうと取り組めているように思います。 私はかなり楽観的な性格なので、この6年間は「何とかなる」と思い続けてやってこられました。しかし、発想は楽観的でも、実践は緻密に手堅く進めることが大切です。あらゆるリスクは前に進みながら柔軟に対処していくという姿勢も事業化には欠かせないのではないでしょうか。

日本政策金融公庫 国民生活事業 担当者への質問

 融資を決めたポイントは何ですか?

技術に新規性がありかつ市場性が見込まれたことです。当時は、まだマイクロ波を活用するビジネス自体が一般的ではなかったため、担当として悩みましたし、調査も多岐にわたりました。しかし、吉野社長に提示していただいた事業計画には根拠となるデータもしっかり示されており将来性を感じる内容でした。また吉野社長の事業化に対する熱意も伝わってきましたので最終的に自信をもって支援させていただきました。
日本公庫へのご相談は、事業資金専用ダイヤル0120-154-505 までお気軽にお問い合わせください。